プラント配管とは、工場内で使用する気体や液体などを運ぶための配管のことをいいます。プラントは一般的なビルや商業施設などとくらべ、1つの施設に設置される配管数が多いことが特徴です。配管の役割もさまざまで、化学薬品や熱湯などの危険なものを通すための配管もあります。
配管にトラブルが起きた場合、工場の操業に支障がでることもあるため、適切なメンテナンスが必要です。この記事では、プラント配管の種類や、業者選びの大切さを解説します。
プラント配管工事の種類
プラント配管は、大きく3つに分けることができます。それぞれの使われる場所や、配管の中を通るものが異なります。3種類の配管についてご紹介しましょう。
液体配管
液体配管は、液体を流すための配管です。プラント配管での液体は水道水や排水などのほか、油や化学薬品など、さまざまな種類があります。
配管の内部に空気だまりができると、流れにくくなることがあります。そのため、空気抜き弁の設置や、配管径を小さくするなどの対策が必要です。配管内部で摩耗や腐食が起きると、乱流が起こる可能性があり、配管のレイアウトを工夫しなければなりません。
また、油圧装置や潤滑油など、液体配管に油を通す場合、水などとくらべて高い圧力がかかります。また、油は腐食性が高いという特徴もあり、配管には耐圧や耐食に強い素材が必要です。
気体配管
気体配管は、エアコンの室内機と室外機との間の冷媒などを通すための配管です。プラント内ではエアコンのほかに、真空環境をつくるための配管や、機械同士を接続する配管などに使われています。
気体配管の中を通すものによって、素材や構造などの注意点が異なるため、多くの知識が必要です。たとえば、水蒸気を流す場合は高温高圧になるため、鋼管を使用します。ガスを流す場合は、ポリエチレン管を使用するなどの腐食対策を行います。冷媒を流すと、配管内部で圧力や温度に変化が見られるため、配管の口径を選ぶ際に適切なものを選ばなければなりません。
粒体配管
粉体配管は粉を流すための配管で、食品工場で多く見られます。粉が液体や気体と大きく異なるのは、「ダマ」になって詰まる可能性がある点です。そのため、表面が平らな、滑らかな形状の配管を使用するなど、詰まりを防ぐための対策が必要です。
配管を設計する際には、カーブが少なく、角度が可能な限り緩やかになるようにすることが求められるでしょう。スムーズに粉が流れているか、定期的に点検をして、流れ方が悪いと感じられる場合にはメンテナンスが必要です。
プラント配管で業者選びが重要な理由
プラント配管は、中を通るものが多岐にわたり、一つひとつに合わせた配管が必要です。圧力や温度の変化に対応したり、詰まりを防いだりするなど、繊細さも求められます。配管の中を通す物質についての知識も必要なため、一般的な配管工事よりも知識や技術が高度なことが大きな特徴です。
高温の液体や気体、ガスや化学薬品など、危険なものを流すための配管も多く見られます。設置工事やメンテナンスで不備があれば、重大な事故につながる可能性があります。そのためプラント配管は専門的な資格を所持し、実績豊富な業者に依頼することが大切です。
まとめ
プラント配管の「プラント」は、工場の設備全体をいいます。工場内での配管のため、一般的には目にする機会がない人も多いでしょう。食品工場や化学工場など、さまざまな工場で使われ、配管内を通る物質も多岐にわたっています。熱湯や化学薬品、ガスなどの危険なものも多く配管を流れているため、配管の不具合が大きな事故につながりかねません。
そのため、プラント配管は一般の配管工が行うことはほとんどなく、プラントを専門とする「プラント配管工」が施工します。プラント配管は、専門性の高い仕事です。