発がん性のリスクからアスベスト規制は以前から行われており、その規制は年々厳しいものとなっています。
2021年にもこの規制の改正が行われ、アスベスト規制はより厳しく、そして安全性の高い環境での処理が重視されるようになりました。
今回は、アスベスト規制の改正というテーマで改正点や注意点についてまとめました。
アスベスト規制がなぜ強化されているのか
アスベストを含んだ建築物の解体が今後増加し、解体工事自体もピークを迎えようとしています。
そう言った背景から2021年4月1日に大気汚染防止法が改正されました。
従来はアスベストが含まれているかどうか事前の調査方法が定められておらず、工事をしたらアスベストが見つかったというケースが多々見られました。
さらに解体後のチェックも難しく不正な手法で解体が行われたことを調査することは困難でした。
こういった背景もあり、2021年の法改正によって石綿の含まれた建物の解体作業において、事前の調査や報告、書類の保管が義務付けられています。
アスベスト規制改正のポイントや注意点の紹介
アスベスト規制の改正ポイントは規制対象の拡大、事前調査、違反者の厳罰化、不適切な作業の防止がメインになります。
規制対象の拡大
従来は規制の対象でなかったものも石綿が含有しているだけですべて対象になります。
石綿含有建材すべてが対象になります。
事前調査
もともと行われていましたが、調査結果を発注者に説明する義務が発生していたものの調査者の明確な指定はありませんでした。
しかし、「石綿含有建材調査者」が調査することを義務付けられるようになり、資格を持っていない作業員が調査したものは2023年10月以降は無効になるとされています。
さらに調査を行った後は都道府県に電子報告をすることや記録の保存義務も行われています。
また、発注者も工事開始14日前に都道府県へ届け出を出さなければならないことも義務付けられています。
厳罰化
従来は作業記録の保存義務や報告などの義務がなかったのですが、今後は義務付けられるようになり、適切な届け出や処理が行われなかった場合は3月以下の懲役又は30万円以下の罰金が定められました。
加えて従来は施工者や元請業者だけだったものが、下請負人についても尊守義務の対象になっています。
不適切な作業の防止
明確な作業基準に沿って石綿含有建材を除去し、環境の悪化を防止する措置を取らなければなりません。
例えば、飛散を防止するための湿潤化や養生、負圧化といった作業です。
その作業は記録を行い、発注者への報告も義務付けられています。
環境への影響も比較的少ないとされていたレベル3(非飛散性)の石綿含有建材の解体についても基準対象になります。
国や地方公共団体の責務もアスベスト規制で明確になる
単に施工業者だけに規制が厳しくなったのではなく、監督する国や地方公共団体に対しても責任が明確化されました。
立入検査対象の拡大、災害時に備えた建築物等の所有者等による石綿含有建材の使用の有無の把握を積極的に行うような責務の創設が行われ、より積極的に調査を行い安全な石綿除去が行われる体制を構築しています。
まとめ
アスベスト規制は健康や環境への影響を最小限にするために改正が行われました。、
大まかな内容として記録の義務や責任の拡大、調査の厳格化といった点が挙げられます。
施工業者にとって負担が増すのは必須であり、この規制によって依頼をする側の経済的な負担がますことも予想されています。