薬品や燃料などを取り扱うプラントに欠かせない設備が配管です。
配管がなければプラントは成立しないと言っても過言ではありません。
原油や化学薬品など特殊な性質を持つ液体や気体を通すためのプラント配管には
ふさわしい耐久性や変質性を備えた素材を使ったり、安全に配慮した配管設計が必要だったりと、
一般的な管工事とは異なるプラント配管工事の専門知識が求められます。
今回は、プラント配管工事の基礎知識について紹介します。
プラント配管とは
プラント配管とは、主に工業生産活動に用いられる素材や資源を生産するための設備における配管のことです。
プラントとは元となる原料を精製したり加工したりするための施設のことで
原油からガソリンや重油など使用可能な石油燃料を生成する原油プラントや天然資源から
必要な成分のみを取り出す化学プラントなどが知られています。
最近は生産や生成のためではなく汚染防止や廃棄物処理のためのプラントも増えています。
海水から飲料水を生産する水処理プラントやゴミを処理する廃棄物処理プラントなど
さまざまなプラントの活動により社会生活が支えられています。
プラントを運用する際に重要なのが、処理対象となる素材や資源の安全な取り扱いです。
プラントでは科学的に危険な薬品や可燃性の高い燃料などが処理対象となることが多く、
一般的な工場と同じような取り扱い方法では危険が伴うケースが少なくありません。
そのような特殊な素材や資源を扱うために考えだされたのがプラント配管です。
素材や資源を専用に設計されたプラント配管を通すことで処理途中も安全に運搬することができます。
例えば原油は揮発性が高い上に燃焼の危険性も高いことから取り扱いには注意が必要です。
原油専用のプラント配管を施設内に設置することで全ての原油は配管内を通して施設内を移動します。
施設に運ばれてから処理されるまで配管外を通ることなくすべての工程が完了するため
危険性がつきまとう原油を安全に精製できます。
プラント施設をひとつの生物に例えるならプラント配管は生物の体内を縦横無尽にめぐる血管のようなものです。
プラント配管には高い専門性が求められる
プラント配管の設計や施工には高い専門性が求められます。
プラント配管の内部を通るのは特殊な性質を持つ素材や資源です。
取り扱う素材や資源ごとに異なる特徴を踏まえた上で強度計算や素材選定を行わないと事故の危険性が伴います。
そのためプラント配管を行えるのはそれぞれのプラントについて深い知識を持つ専門家に限られます。
原油プラントなら原油の気化や可燃性、
発生するガスによる圧力その他の影響などを知っていなければ配管の設計は不可能です。
実際の工事作業についても設置基準や安全基準は通常の配管とは異なるため
熟練した技術者のもとでの作業が必要です。
外側から見ると同じようにみえるプラント配管ですが、
実際にはそれぞれの条件に合わせたオーダーメイドで工事されています。
一般の管工事とは全く異なる知識と技術が求められるプラント配管は非常に専門性の高い仕事です。
工事後のメンテナンスが重要なプラント配管
プラント配管の大きな特徴のひとつがメンテナンスです。
一般の管工事でも定期的なメンテナンスが求められますが、
プラント配管のメンテナンスは通常の配管のメンテナンスとは比べ物にならないほど重要な役割を担っています。
プラント配管のトラブルが大事故に直結します。
比喩ではなく大爆発や大火災になりかねない危険なプラントも多いことから
頻繁に点検や清掃などのメンテナンス作業が行われます。
配管内の堆積物やわずかな歪みが大事故の引き金になる可能性は高く、定期的な設備のメンテナンスだけでなく、
異常の兆候が感じられたときの素早い対応も求められます。
事故防止のために常に技術者を待機させるプラントも少なくありません。
まとめ
プラント配管は高度な専門知識と技術が要求される設備です。
プラント配管を手がける建築会社では専門家となる人材育成のために高度な教育や現場実習などに力を注いでいます。